この写真は2006年3月に竣工した「中庭のある家Ｎｏ.4」です。

設計契約をしてから最初のプレゼンでの話。
模型を手に取りクライアントに説明しました。
「模型のここから覗いて見てください」
「そう、ここです」
「ここから向こうの階段が見えますね」
「玄関に入った時、正面開口の向こうにシャラノキを植えましょう」
「このシャラノキは花が上を向いて咲くのでバルコニーからは綺麗ですよ」
「秋には紅葉が美しいです」
「そしてシャラノキの向こうには軽やかな階段が見える家にしましょう」
「窓越しに自分の家が見えるのはなぜか落ち着きますから」
と提案しました。
ここは昔からの土地で、周辺があまり良い環境でなく、どこかほこりっぽい印象があったため、玄関に入った瞬間から、周辺とは遮断した緑ある落ち着いた開放的な空間にすることで、この家がクライアントの心を和ませてくれるだろう。と思ったからでした。
設計途中で、この窓は大きすぎて、来客時にお客さんに見られて恥ずかしいといった心配もありましたが、完成して実際この場に立つとやはりこの開口で良かったと実感した住宅でした。