新潟県と富山県の県境にあるヒスイ海岸。
この海岸は砂浜ではなく角が取れた均等な石ころが多い海岸です。
たまたま4月の天気の良い日に立ち寄った海岸ですが、山国で暮らしている私としてはとても新鮮な風景に見えます。
波打ち際付近でこれらの石は本当に丸く、どれをとっても卵のような楕円形で、唯一色彩だけが自身を主張しているのみ。
それは北アルプスの立山連峰から急流に流され、運ばれてきた岩が長い年月をかけ形成された自然が造る芸術作品のようです。
まさにアースワークです。

この石を見ていると建築設計において、初期の案から様々な打ち合わせを重ねるううちにオーソドックスな形状に変わっていく様子とどこか似ているように思うのです。
初期の案はデザインを最優先し形状を検討するのですが、メンテナンス、建設コスト、構造、周辺との調和などいろいろ考えると少しずつそのデザインの角が取れていきます。
しかし角が取れすぎてはハウスメーカーのような工業製品になってしまいます。やはりこれらの建物とは何か違う「光るもの」がほしいのです。
この光を追い求め日々努力し、クライアントに満足してもらえるデザインに到達させることが設計事務所の使命でもあります。
設計の仕事とはこのバランスのさじ加減が実に難しい仕事であります。